
現代社会において、物流が重要な役割を担っています。しかし、近年では倉庫業務における人手不足化が進んでいます。人手不足を解消するには、離職率低下などの人材確保のほか、業務効率化のための工夫やツールを取り入れるのも有効です。今回は、物流倉庫の人手不足の原因と解消方法について詳しく解説するため、ぜひ参考にしてください。
高齢化・業務の激務化によって物流倉庫は慢性的な人手不足状態にある
物流倉庫の人手不足は年々深刻化しており、人手不足を感じている企業は6割以上にものぼります。人手不足が進むと時間外労働の増加や休暇の減少、サービス品質の低下、職場の雰囲気悪化などの影響が懸念されるため、早急な対応が求められます。しかし、なぜ現在において物流倉庫部門の人手不足が深刻化しているのでしょうか。ここでは、物流倉庫の人手不足の原因について詳しく解説します。
高齢化が進んだことでスタッフが不足している
物流倉庫のスタッフは高齢化が進んでおり、2001年時点でも20代以下の倉庫スタッフは28%でした。少子高齢化による人手不足はどの業界でも進んでおり、物流倉庫も例外ではありません。スタッフの高齢化により退職者が出たとしても、代わりとなる若年層スタッフはかんたんには集まらないため、各企業で労働力確保の競争も激化しているのが現状です。
ネットショップの拡大による激務化
近年ではインターネットの拡大により、ネットショップが増加しています。また、感染症の拡大などの影響を受けて、自宅にいながら買い物を済ませたいという需要が急増しています。2011年から2021年までの10年間で、ネットショップ利用者は2.5倍以上に増えているというデータもあるほどです。単純に注文数が多いことで物流倉庫業務が激務化しているのはもちろん、商品を配達したもののお客さんの不在などで受け取ってもらえず、再配達となるケースが多いことも作業数が増える要因のひとつです。
業務量の増加によってひとりあたりの作業時間が伸びており、倉庫によっては作業が夜中まで続くことも珍しくありません。加えて「物流倉庫業務は人手不足かつ激務である」というイメージが世間にも浸透しているため、人手が集まりにいです。これにより、人手不足がさらに深刻になる悪循環におちいっている側面もあります。
物流倉庫における人手不足の課題の解決方法
先述の通り、物流倉庫の人手不足は高齢化やネットショップの拡大が原因であり、今後もさらに深刻化することが予想されます。ここでは、物流倉庫における人手不足の課題を解決する方法を複数紹介するため、ぜひ参考にしてください。雇用する人材の枠を広げる
物流倉庫業務は力仕事であることから、これまでは若い男性を雇用するケースがほとんどでした。しかし、少子高齢化によって若年層〜中年層の男性が集まりにくいという現状の中では、人手不足を解消するために雇用する人材の枠を広げることが不可欠です。具体的には、女性や高齢者、外国人を積極的に採用するのが有効となります。女性や高齢者に物流倉庫ならではの力仕事を任せるのは難しいケースもありますが、担当する部門を工夫する・業務内容を細分化するなどして課題を解決できることでしょう。
また、近年では日本で労働する意欲が高い外国人が増加しているため、外国人スタッフを採用することで人手不足解消につながります。
倉庫管理システムを導入する
倉庫管理を専用のツールでシステム化すれば、一部業務の自動化により業務効率アップが期待できます。入力ミスなどのヒューマンエラーが減ることで、思わぬトラブルを防げるのも魅力です。また、システム化によって倉庫内の商品がどこにどれだけあるかをリアルタイムで把握できるため、適切な在庫管理によって移動や商品探しにかける時間を短縮できます。また、余剰在庫にかかる管理コストもカットすることが可能です。
労働環境・福利厚生を見直す
スタッフの退職率低下や人材の定着化を目指すには、過酷な労働環境の改善・福利厚生の見直しなども必要となります。空調管理で過ごしやすい環境を維持するほか、トイレやロッカールームの整備、託児所の設置も有効です。また、各種手当の支給や特別休暇の確保なども、人手不足解消に役立つでしょう。アウトソーシングを利用する
物流倉庫の人手不足を解消するには、倉庫業務を専門とした業者にアウトソーシングするのもひとつの手です。アウトソーシングには当然費用が発生しますが、自社の人材が足りない場合でも倉庫業務を適切に運営できます。また、倉庫業務に精通した専門業者スタッフが在庫管理を実施することで、業務の品質向上や効率アップなども期待できます。