
医薬品の倉庫管理システムにおいては、GDPが注目されています。GDPとは、日本国内の医薬品の輸送や流通が適正に行われているのかをまとめた、医薬品に関する流通管理のガイドラインです。この記事では、GDPの管理基準や必要性、GDPを適切に行うためのWMSの導入について詳しく紹介します。
そもそもGDPとは
医薬品の品質は命にかかわるため、製造工程での厳しい規制と管理が求められます。しかし、医薬品の品質を保持するには、製造工程だけでなく原料の製造から提供、保管、販売、流通までのすべてにおける品質管理が重要になります。医薬品の保管時には、適正な温度管理が必要であり、異物の混入にも細心の注意を払わなくてはいけません。そこで、医薬品の適正な流通の基準を定めたのがGDPです。WHOにはGDPガイドラインが存在し、EUではGDPが法的規制になっています。
日本では、厚生労働省がGDPガイドラインを発表しており、品質管理や流通過程での管理の仕方が定められています。GDPガイドラインの目的について、詳しく見ていきましょう。
高水準での品質保証
自社だけでなく、すべての取引先で適切な資格や認証を保持していることが重要です。正しい運用を行っていることを確認し、品質を保証することが目的です。医薬品の安全性の保証
医薬品の安全性とは、出荷する製品の品質が損なわれない状態のことです。温度変化による変質や、衝撃を受けることによる破損などが発生しないように、細心の注意を払って輸送することが求められます。偽造された医薬品の混入を防止
輸送時の商品管理が正しくても、その製品が偽造品であれば重大な問題です。そのため、偽造された医薬品の混入防止と適切な対処法が必要です。GDPガイドラインは、それぞれの会社の実態に合った規則を作る際の参考にすることも目的にあります。適格性をもつ業者が正規の品質を保持したまま、偽造品が混入しないようにするためのルールを作るガイドラインともいえます。
倉庫管理にはなぜGDPが必要?
倉庫管理には、なぜGDPが必要なのでしょうか。その理由についてみていきましょう。GMP省令
GMPとは、医薬品および医薬部外品の製造管理と品質管理の基準のことをいいます。平成16年に省令として定められたのが、GMP省令です。GMPは、医薬品の製造時における管理と品質を徹底することが目的です。人によるミスを最小限にし、医薬品が汚染されることや品質の低下を防ぐこと、高い品質を保つためのしくみを作ることが事業者に求められます。整備しないといけないものには、設備関連のハードなものと、人的な約束事や教育、訓練などのソフトなものがあります。
GMP省令では、自社ルールを基準としてまとめることが定められており、製造管理基準書・品質管理基準書・衛生管理基準書の3つの基準書をまとめなくてはいけません。さらに、製造管理や品質管理を円滑に行うために製造所ごとに手順書を作成し、保管する必要があることが定められています。
PIC/S
PIC/Sは、GMPを国際化するための非公式の枠組みのことをいいます。医薬品の品質維持は、サプライチェーンにおける管理が必要であり、1つの国だけでは実現できません。そこで、各国の政府や査察機関が協力するのがPIC/Sです。PIC/Sの原型であるPICは、査察の相互認証やGMPの協調、査察システムの統一、情報交換などが目的であり、PICが改善されPIC/Sとなりました。
PIC/Sの活動は、年1回の教育セミナー、共同査察プログラム、年1回以上のエキスパートサークル会議などがあります。日本でも、PIC/Sに準拠した、品質管理や製造管理が求められるようになりました。
GDPを適切に行うにはWMSの導入がおすすめ
GDPを適切に行うためには、WMSの導入がおすすめです。WMSとは、倉庫内での在庫の入出庫管理や、ロケーション管理ができるシステムです。システムを導入すると倉庫内の情報を一元管理することが可能なので、在庫管理や品質管理を効率的に行えます。ここでは、WMSを導入することで得られるメリットについて詳しく紹介します。
現場作業の効率化
WMSを導入すると、作業効率の向上につながります。商品情報をデータ化することで可視化し、在庫管理のミスを知らせてくれます。作業員が商品を目視で確認する必要がなくなるため、作業効率が向上することでしょう。また、作業内容を簡略化できるので、作業員の能力に関係なく一定の業務成果が期待できます。
リアルタイムで仕事状況を確認
WMSを導入すると、リアルタイムで仕事の進捗状況や在庫状況を確認できます。これにより、物流全体の生産性の向上にもつながるでしょう。WMSでは常に最新の状況を把握できるので、状況に合った最適な方法で作業を進められます。また、現場の進捗状況の改善や、人員の配置などにも迅速に対応することが可能になります。自社に合わせてカスタマイズもできるので、作業内容を明確にした上で必要な機能を検討するとよいでしょう。