
多くの現場では商品の入出庫作業を手作業で行っており、在庫管理に多くの時間と労力を費やしています。しかし「どうすれば業務を効率化できるのか分からない」という声も少なくありません。そこで今回は、在庫管理システムの導入によるメリット・デメリットを詳しく解説します。さらにシステムを選定する際のポイントについてもご紹介します。
入出庫管理の基本とは
入出庫管理とは、倉庫に商品をどれだけ入れたのか、そしてどれだけ出したのかを正確に把握・管理する業務のことをいいます。これを怠ると、在庫の状況がわからなくなり、納品ミスや発注ミスといったトラブルが起きる可能性が高まります。管理不備によるトラブルの例
たとえ管理を行っていたとしても、その運用が適切でなければ、実際の在庫数とシステム上の在庫数にズレが生じます。たとえば、実在庫が不足しているにもかかわらず、システム上では納品可能と表示されている場合、いざ出荷しようとしても商品が足りず、納品トラブルへと発展してしまうのです。正確な管理の重要性
このようなトラブルを未然に防ぐためには、正確な入出庫管理が欠かせません。しかし、どのような点に注意して管理をすればよいのか分からない人も多いでしょう。入出庫管理では、商品の名称や品番、日付、入庫数、入庫の目的、出荷数、在庫数、担当者名、そして保管場所など、記録すべき情報が多岐にわたります。
これらをしっかりと記録することで、商品の流れを正確に把握できるだけでなく、在庫データを信頼できる形で蓄積することが可能になります。
管理方法の選択肢
入出庫管理の方法にはさまざまな手段があります。昔ながらの紙に記録する方法やエクセルなどの表計算ソフトを使うケースも多く見られます。また、バーコードを読み取るハンディーターミナルを利用したり、より高度な在庫管理システムを導入する企業も増えています。業務の規模や運用体制に合わせて、適切な方法を選ぶことが重要です。
入出庫管理システムを導入するメリット・デメリット
ここでは、入出庫管理システムを導入することで得られるメリットと、注意すべきデメリットについてわかりやすく解説します。システム導入のメリット
入出庫管理システムは、ハンディーターミナルを使用して作業をシステム化したもので、業務の自動化と情報の一元管理を実現します。このシステムを導入することで、在庫数や保管場所、商品の移動経路をリアルタイムで把握でき、仕入れや納品の業務が効率化されます。また、入荷日や出庫日時などの履歴もデータとして保存されるため、在庫がどのくらいの期間保管されていたかを確認できます。これにより、商品ごとの回転率を把握しやすくなり、在庫戦略やマーケティング分析にも活用できます。
さらに、多くのシステムには棚卸機能が搭載されており、決算時や月次の在庫確認作業を円滑に行えるようになります。加えて「預かり在庫管理機能」を備えたシステムもあり、メーカーや販売先から一時的に預かっている在庫を、自社在庫と分けて管理できるため、複雑な在庫形態にも柔軟に対応可能です。
デメリットと注意点
一方で、入出庫管理システムにはいくつかのデメリットも存在します。まず最初に挙げられるのが、導入時のコストです。システムの種類によって価格帯は異なりますが、初期費用やランニングコストが発生するため、事前に予算を確保しておく必要があります。さらに、導入当初はシステムの操作に慣れるまでに時間がかかる場合があります。とくにこれまで手作業や紙媒体で管理していた現場では、最初は戸惑いや混乱が起こることもあるでしょう。しかし、操作性に優れたシステムを選べば、現場への定着も早まり、結果として効率化につながります。
管理システムを導入する際の選び方
入出庫管理システムの選び方を間違えると、せっかくのシステムも使いこなせず、かえって業務効率が下がってしまうこともあります。ここでは、システム導入時に押さえておくべき選定のポイントについて解説します。自社に合ったシステムを選ぶ
入出庫管理システムにはさまざまな種類があり、小売業向け、卸業向け、自動車販売店向けなど、それぞれの業種に特化したものが提供されています。そのため、まずは自社の業種や業務内容に合ったシステムを選定することが非常に重要です。カスタマイズ性をチェックする
システムを選ぶ際は、標準機能だけでなく、どれだけ柔軟にカスタマイズできるかも大切なポイントです。自社の業務にぴったり合うようにカスタマイズすることで、より高い効率化が実現できます。あらかじめ、どのような機能追加が可能か、またそのコストがどの程度かかるのかも確認しておきましょう。他システムとの連携性も重要
すでに何らかの業務システムを導入している場合は、新しく導入する入出庫管理システムと連携できるかどうかも確認が必要です。データのやり取りがスムーズに行えることで、業務全体の効率が大幅に向上します。ただし、既存システムが古い場合には、連携に制限があることもあるため、思い切ってすべてのシステムを一新するという選択肢も検討してみてください。
コストは総合的に判断する
導入コストやランニングコストについても慎重に検討しましょう。「初期費用を抑えたい」と考えるのは自然なことですが、ランニングコストを含めたトータルの費用で見ると、結果的にどのシステムが最もコストパフォーマンスがよいのかが見えてきます。
短期的な視点だけでなく、長期的な運用を見据えた上で費用対効果を評価することが大切です。
操作性とサポート体制を確認する
操作性の高さも重要なポイントです。あまりに複雑な操作が必要なシステムでは、現場のスタッフが使いこなせず、導入がスムーズに進まない可能性があります。シンプルで直感的に使えるシステムを選ぶと同時に、導入時にしっかりとレクチャーをしてくれるサポート体制があるかどうかもチェックしておくと安心です。